カメラマンの渡部サミーと言います。
実は結婚式を一番良く観ているのはフォトグラファーだったりします。
僕がファインダー越しに観た結婚式のコツをこれから結婚する二人に届けられたら幸いです。
質問にも答えて行きたいと思います。
みんなでいい結婚式を創って行きましょう。

2011年10月15日土曜日

アルバム見本

忙しかったのもあるが、いろいろ悩んでいるうちに
ずいぶんと時間がたってしまった
今回は撮影と言うよりもその後のアルバムについて考えてみる
とりあえず9月に完成して納品したばかりの実際のアルバムを例に見てみる

表紙は顔がはっきり見える物よりもイメージ写真が個人的には好き
とは言えお客さんの要望が第一ではある

 1ページ目は映画のオープニング的な意味を持つ、まだ顔は出さない
今回は沖縄式なのでそれらしい写真をポストカードっぽくしてみた

 その日の空や物を大きく扱うとカッコ良くなる
人と同じぐらい人以外も大事なのだ

状況が分かる写真や小物を経てようやく主人公の登場
カメラ目線の写真はあまり使わない 

カメラ目線を使う場合は表情に気をつける
そして多用しない
物と人とのバランスが大事 

いい写真は素直に大きく使う
左の写真を殺さない様に右の写真を決める
同じ見開きの中にいい物を2枚入れるとお互いに潰し合ってしまうのだ 

カメラ目線の写真には存在感があるので使う場合は物と組み合わせたりする
上の見開きと同じ理屈だ 

組み写真の典型
見るものと見られるもの
このパターンはアルバムに使いやすい 

カメラマンは写真にいくつかの意味を込める
左の写真は「平和な家庭」「変わらぬ愛情」「安心な道」
右は単純に挙式の日時+「嵐も二人で乗り越えて行け」的な 

このページは時間の流れを伝えるためのもの
詰め込みすぎると見ていて息が詰まってしまう
現実と同じ様に時間配分も考慮したい 

同じ時間軸のページ
花嫁がメイクしている時、新郎は泡盛を見ていた
後からアルバムを見た時に笑えたらいい 

二人が写っている写真の間には捨てカットを入れる事が多い 
理由は二つ、状況説明と飽きさせない為

チャペルがどんなだったか表すと同時に場面を変える役目を果たす
さっきと逆で物と物の間に人を配置 

どうしても人だけの見開きは出来てしまう
そんな時はなるべく表情や動きに気を配る

さっきの見開きが人だったのでここでは大胆に物で攻める
何事もバランスが大事 

そしてまた人のページ
しかし、これはこれで成立している
左のページから右のページまで一連の流れになっているから

「家族を出迎える」 を表現してみた
配色にも気を使っている

ファミリーフォトのページ
ここでもカメラ目線の写真は一枚だけ
欲張らないのがコツ 

 時間の流れを追いながら挙式に臨む
ある程度ちぐはぐなのは前提が人に見せる為の物ではないから
自分たちのアルバムなのだから入れたい写真を入れるべきなのだ

要望に応えながら味を整えて行くのがシェフの仕事 

ところどころでアップの写真を入れないと全体が引き締まらない 

ここで泣き(引き)の写真を入れたかったので取っておいた
引きに対しての寄りの写真は基本だ

ここでは牧師だが子供や両親の写真でもいい
必要なのは第三者の目があると言う事
結婚式は二人だけで出来る物ではない

チャペルの中での退場シーンもあったが前の写真とかぶらない様にこっちを採用
ここでも引きと寄り

結婚式に色を添える物は必ずあるはずだ 
巧く使えばアルバムに変化がつく

ロビーはホテルの顔なので大概キレイで絵になりやすい
しかし濃いので合わせる写真としてはポストぐらいが丁度いい

余韻を残しつつ手(指輪)のカットで〆る

沖縄でなければこんなに空や海の写真は使わなかっただろう
この辺も結婚式の個性だ 

なるべく写真は大きく使う
その方が状況も気持ちも伝わりやすい
もちろん10年後の自分にだ 

アルバムを作るときはどうしても、せっかくだからと堅い写真を使いがちになる
結果つまらなくなってしまうのだ 

最後にダイジェストを持ってくる事はよくある
何となく終わりを連想させるのだ

花嫁の希望で最後はこの写真になった
島がハートに見えるとか
終わりが人じゃないのもいい


撮影しただけではなかなか想いは伝わらない。
カタチになって初めていろんなものが見えてくる。
やはりアルバムにするところまでがカメラマンの仕事なんだと思う。

また機会があれば別のアルバムも見せたい。